求人媒体の企業からしょっちゅう電話営業を受ける。
世は人手不足と言われているのに電話営業の仕事には若い人達(声の感じでわかる)が集まってきているようだ。
だが、以前から契約しているところに御用聞きの電話をするのではなく、新規の営業先に電話するのって結構メンタルに来る仕事だろう。電話口で話し始めた途端に相手にいきなりガチャ切りされることもあるだろうし、「しつこい」とか「二度とかけてくるな」とか辛辣な言葉をかけられることもあるだろう。求人媒体の営業電話は多いので、「求人活動のご提案を・・・」なんてフレーズを聞いた途端「またか」といった感じで面倒くさそうな対応や冷淡な対応をする企業の電話受けもいるだろう。
仕事があるだけありがたい就職氷河期ならともかく、仕事の選択の幅が広がっている現在の若者が好き好んで行う仕事にはとても思えない。
ということで、当社の求人を行ってくれている求人媒体の代理店の営業マンにその質問をぶつけてみた。
「求人系の会社から営業電話しょっちゅう来るんだけど、電話してくるのって若い人ばっかなんだよね。若者の労働力が不足しるって言うけど、メンタル的にハードな新規の営業電話の仕事に若い人がなんであんなに従事してるのかね? トラックの運転の方がよっぽど良くない?」
と聞くと。
「求人媒体の仕事って広告業になるので。」
あー、なるほどー。
今も昔も「電通」「博報堂」を筆頭とする広告業って人気の職種だもんね。私が広告業に興味がないから無頓着だったけど、求人をWebや冊子、新聞に載せるのって「求人広告」として載せてるわけだから、求人媒体って当然広告業に分類される。
と、そこで一つ疑問が湧いたので彼に再び質問、
「で、その人気の広告業なのに、君の会社はしょっちゅう求人だしてるけど・・・人来ないの?」
すると彼は
「いや、求人出すと結構応募が来るんですよ。それで、採用するんですけどなかなか続かなくて・・・。まあ、ウチに限ったことではななくて、ここが求人業界の闇なんですけど・・・。」
本日二度目のあー、なるほどー。求人媒体の電話営業の方って頻繁に変わる印象あったけど、社内での担当交代・部署移動ではなく「辞めちゃった」ってことなのか、と腑におちた。
広告業という華やかなクリエイティブな業界に入ってみたものの、仕事の大半は華やかさもクリエイティブさもない新規の電話営業では続かないわな。もちろん、募集職種は「営業」ってなっているんだろうけど、当然、「自分の提案で、お客様のお役に立てた時の達成感」みたいなのを前面におしだして、「過酷な新規獲得営業」のことなどおくびにも触れないだろう。
求人媒体の難しいところは婚活サービスとかと同じで、お客様の望みを叶えちゃうと(求職者の充足や結婚)、そのお客様はお客様じゃなくなっちゃうところ。求人であれば、また人が不足してきたら頼んでくれるっていうのはあるだろうけど、魅力的な求人広告にするために、その会社の強みを一緒になって掘り出したりして、その会社が自社強みに気付くと、その会社が強みを強化しだして、従業員の定着率がよくなる。当然、欠員がでなくなるので、結果、そのお客様が求人広告をだす頻度は少なくなってしまう。お客様の事を思ってやればやるほど、そのお客様はお客様でなくなってしまい、新規獲得営業をしなくてはならなくなってしまうというわけだ。
求人冊子には「自分に合った仕事の探し方」や「労働条件を確認しよう」「最低賃金とは?」などのコラムがある。こういう「働く側に立った」コラムを書いている求人冊子の発行元は離職率の低いホワイト企業のように見える。だが、その実態は離職率の高いゴリゴリの営業企業なのだ・・・。
コメント