当社にかかってくる電話は配車部門向けの電話が圧倒的に多いので、配車部門が電話を全てとり、事務管理部門や営業部門向けの電話の場合は各部門に電話をまわすようになっている。
本日、17時過ぎ事務所の内線が鳴る。外線のボタンが保留状態になっているので事務管理部門向けの電話がかかってきたのだろう。
内線にでてみると、
「請求書の件で何とかって会社から電話が来てるんですけど、ボソボソ話していて上手く聞き取れなくて・・・。請求担当の方が席を外していることは承知しているんですがでてくれませんか?」
と。
私がわかったよーといって外線電話に出ると。
「株式会社〇〇と申しますが、請求書管理システムの件で昨年末にお電話させていただいたのですが、お忙しいということで年明けに連絡してくれとの話だったので、打ち合わせの日時を決めたいのですけど・・・。」
と来た。請求書の件でというからてっきりこちらが出している請求書の事での問い合わせだと思ったのだが営業の電話じゃないか! さすがに腹が立ったので、
「申し訳ありません。こちらが発行している請求書の件でのお電話と聞いて対応させていただいたものですから、請求書システムの営業のお電話ということであれば、私では分かりかねますので失礼いたします。」
というと、
「あ、はい、失礼いたします・・・。」
と言ってあっさり引き下がった。
実は、この会社、数日前に私が配車室で作業をしている時に配車担当者が電話にでて、配車担当者がその場で、
「〇〇っていう会社から請求書の件で電話来ていますけど分かります?」
と私に聞いてきたのだが、全く聞いたことがない会社だったので、
「私じゃ分からないなあ。担当者が戻ってきたら連絡させるから連絡先聞いといて。」
と配車担当者に伝えると、配車担当者は請求書担当不在の件を伝え連絡先を聞いたのだが、先方は、こちらから掛け直しますと言って連絡先は教えてくれなかったそうだ。
請求書の件でとなると折り返しの連絡が欲しいとなるものだが、なるほど、連絡先を教えてしまって請求書担当者に会社名と共に伝えられてしまっては、取引先にそのような会社はないから営業電話だとバレてしまうからな。
よく求人系の営業で求職者を装って電話をかけてきて採用担当者に繋いでもらうという姑息な手法があるが、今回のヤツは、その「請求書」バージョンだ。
ただ、求人広告を出している企業の採用担当者に求職者を装って電話するは、「人が採れない」という課題をその企業が抱えている場合が多いので人材獲得のノウハウに関する営業がヒットする可能性があり、逆に求人広告をだしていない企業は「人が採れない」という課題を抱えていないととれるので、それらの企業にアプローチする必要はないというメリットがある。だが、「請求書」で同じ手法をとる場合相手が請求書まわりで課題を抱えているかどうかは、外に出ている情報からでは、わからないので片っ端から電話をかける羽目になる。
また、求人の担当者と請求書の担当者を比べた場合、求人市場の動向に合わせて柔軟な対応を求められる求人担当者にはある程度の裁量権や求人ノウハウの情報収集の権限が与えられていることが多いが、請求書まわりはルーチンワークであり、現状を変える必要性、緊急性があまりなく、担当者が請求書システムに対して外部からの営業を受ける権限がある可能性は低い。
それが分かっているから請求書まわり、経理まわりのシステムを取り扱う楽楽精算やマネーフォワード等の代理店は、姑息な手段を使わず「経理の責任者の方みえられますか」等の真正面からのアプローチをしてくる。
規模が小さな会社なら請求書担当者が請求業務・経理業務の責任者であるというケースもあるので、「請求書の件で・・・」と言えば手っ取り早く責任者と話しができるかもしれないが、たとえ請求書まわりに課題をもっていたとしても、紛らわしい電話のかけ方をしてきた第一印象最悪の会社に、会社の大事な請求書まわりを託そうとは思わないだろう。
この手法を使ってきたのは後にも先にもこの一社だけである。
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